6月のご依頼日程は15,19,24日です。

クラリネット管楽器調律レポート(by 管楽器修理工房AtelierT 武田幹彦)

目次

リペアマンの武田幹彦さんと意見交換会をしました

静岡県でリペア工房を立ち上げていらっしゃる管楽器修理工房AtelierTの武田さんと直接お会いして、修理の専門家の視点から管楽器調律の技術について、意見交換をしました。

以下はX(旧ツイッター)に投稿された武田さんのレポートを引用したものです。修理の専門家の視点からも管楽器調律の変化や効果範囲はとても有用であると改めて確認していただきましたので、この技術がより多くの人に安心して利用していただけるように情報の発信をしていきたいと思います。(文:西部)

AIによる要約文章

数ヶ月前に、管楽器調律師の西部さんと是澤先生に協力してもらい、クラリネットの管楽器調律を見学し、意見交換をしました。私はこの技術について個人的に発信する必要があると感じました。体験を文章にすると主観が入りますが、明らかな変化を感じました。具体的には、施工後の楽器の感触や音の変化に驚きました。調律技術の効果は明らかであり、特に問題視される部分の改善が感じられました。安全性についても懸念がありましたが、確認したところ問題はなかったです。これらの経験から、この技術は必要に応じて検討されるべきであり、管楽器の修理や調整とは異なる価値があると感じました。技術の発展に対する共通の目標を持って、専門家同士が協力すれば、より良い結果が得られると確信しています。

数ヶ月前に管楽器調律師・チューバ奏者の西部さんと、同じく管楽器調律師・オーボエ奏者の是澤先生にご協力をいただき、クラリネットの管楽器調律の見学と意見交換をさせていただきました。

かなり以前から見学に伺わせていただきたいと思いつつも自分自身の都合で中々伺えず、今回念願叶ってでした。 未だ賛否が議論されている技術ではあると思いますが今回実際見学をさせていただいて、これを発信せずおし黙っている訳には個人的にはいかない内容でした。

今回私自身が体験させていただいた事について、拙い文章ではあるのですが体験記録として共有させていただければと思います。 体験を文章に起こすとなると、やはりその時思った事や感じた事などの主観などが割合を多く占める事に関してはどうかご了承ください。

まず結論から申し上げますと、 この技術は巷でよく言われている変化が有る無しで語られる次元では全く無い位に、ちゃんと明らかな変化を体感できる技術でした。 「何も変わっていない」と私は言えませんでした。それは嘘になります。

今回に私がお待ちさせていただいた楽器がYAMAHAのYCL-450(II)という、数ある木製のクラリネットの中で最もリーズナブルな価格帯の楽器でした。 (※お客様の楽器ではなく、私個人の所有する楽器です。) お持ちする数日前に全タンポ交換OHを実施させていただきコルクやフェルト・タンポなどは全て交換の上で摩耗ガタなども全て対処し、自信を持って自分の今出来る事を尽くした楽器でした。

ただその仕上げた末でもやはり自分の中でここがやり尽くせないと思った部分が、

・スロート音域の音質がガサガサとする

・C♯/G♯やE♭/B♭などのサイドキィの音抜けがぐぐ籠る。

・下管F/CとE/Bでの音質差 (トーンホールから振動が抜けるのと、ベルから振動が抜けることでのギャップ)

などクラリネットの鬼門言われているかつ、私自身もそれを強く実感している部分でした。

これは手前味噌になるものの客観的に伝わりやすいよう恥ずかしながら書かせていただきますが、全体の鳴り方などは450であればOH作業を実施したなりに良く出ているなという自負がありました。

今回、私が一零細管楽器リペア技術者として期待した内容は上記内容が多少改善されれば良いなくらいのものでした。 (施工内容や状況に関しては動画などが既に管楽器調律研究所公式より多く上がっていますのでこちらでは省かせていただきます。) 今回意見交換会という事で、西部さんのご意向でまずひとしきり炙りの施工が終わってから楽器を吹かせていただきました。

まず第一に感じて驚いたのが、吹く以前に楽器を持った感触自体がちがう事でした。これはスピリチュアルと言われても仕方ない事を書いている自覚はありますし、目隠ししてそれを体感出来るのかどうかなど突っ込まれると今回それは実験していないので耳の痛いところではありますが、自分の思いに嘘はつきたく無いので感じたありのままで今回は書かせてください。

OH作業中から今回お持ちさせていただいた時まで持っていた感覚と比較すると、楽器自体があたかも軽くなったかのようなそんな感覚です。 まずそれに驚きつつ楽器を吹かせていただくと、自分が仕上げた時と比較して楽器自体の鳴り方や響き方・息の入り方が違い、全体的にそれらが向上したような感覚でした。 なるほどこれは確かに変わるなと思いました。

ただ正直申し上げてしまうと先述したクラリネットの鬼門と呼ばれるところは全然まだ残っている感覚でした。 ということでここからより更に賛否呼んでいます「カチカチ」の施工になります。

私自身実はもうダメになり廃棄するリードなどで試した事があり、その段階で何かが変わる事は感じつつも圧倒的に変わるなどといったことは感じていませんでした。

施工風景は動画などでも良く見ます通り、楽器に火が当たる事は一切ないくらいの距離でバーナーの着火時の火花を向ける風景でした。

こちらの施工が終わって吹いてみた感想は、一息入れ一音吹いたらうなだれる位には分かる音の変化でした。 全体の音の感じは自分の主観で申し上げると、

・音がかなり明るくなった

・息がスンッと入る感覚

・出した音が吹いている私自身や周囲の方も分かるくらいに明らかに部屋に響いている

といった内容です。

そして1番ここから怖いのが、先述した鬼門と自分自身が感じていた部分の音が格段に改善していた事です。

この時点ではまだ少し要素は残りつつも施工前と比較すると圧倒的にその部分の音が良くなっている体感でした。

唯一レジスターを押したスピーカーホールとしての音がまだ籠る感じがあり、意地の悪い要望かなとも思いもありつつ「更に良く出来たりしますか・・・!?」と聞いてみまして、そこから更にスポットを絞って3手ほど施工していただき個人的な体感としてはそこから更に良くなった印象でした。

この段階で一つ気になったのが、これらの音の操作を私個人の主観では嬉しい嬉しいと思う事ばかりだったのですが、人によってはそれが思った方向ではないだったり例えばここから音をこうしたいなどの要望はどう対処されるんだろう?と思い、いくつかの実験を試していただきました。

何をしたかは実際の施工の際にはおそらくその時のケースバイケースになると思いますのでここで私から書くことは控えさせていただくのですが少なくとも、こういう音を出したい・響きにしてみたい・吹き心地が良い、などの要望には何かしらの手札のご用意があり、それにも驚きが隠せませんでした。

そして最後にはなるのですが、管楽器修理を仕事とする人間として1番気になるところである「楽器の安全性」について書かせていただきます。

正直申し上げてしまいますと、木管楽器はタンポやコルク・フェルト、そしてクラリネットであれば管体が木製ということもありそれらに火を当てるなんて御法度と私も個人的には考えていましたし、体験させていただいておきながら今それが抜けきっているかと言うと、まだ複雑な思いではあります。

ただ今回の施工していただきました楽器に関して申し上げますと、施工前と施工後でそれらの全ての確認をさせていただいたのですが、それらのどこかがコゲていたり熱が当たった事によるつっぱりなどは私の目視では見受けられませんでした。 またタンポの塞がりや連携の塞がりなども普段のチェック方法にて確認させていただいたのですが、私自身確認した限りではまごう事なく私がお持ちさせていただいた際と同じでした。 管体の表面も木自体の油分などが抜けているなどの事もありませんでした。 以上が私自身が体験した内容になります。

ここから先は私自身がこれらを通して思った事になります。

まず、今回体験させていただいて私が感じた事などはあくまで私自身の主観になるため、人によって感じ方などは大きく変わるだろうと思います。

そして今回ご協力いただきました西部さんや是澤先生に忖度無しに自分自身の考えを述べさせていただきますと、 「現時点でご自身の楽器の何もかもが好きで好きでたまらない方」は、あまりにも音や吹き心地への変化が大きすぎるので、むしろ実施するべきではないと感じました。

そして「特に何も悩んでらっしゃらない方」は、あえてこの技術を気を留める必要も無いかと思います。

ただこれに関しましては調整の手法や修理に使う素材一つ、カスタムパーツ全般にもまったく同じように言える事かと思います。

逆に「ここをこうしたい‼︎」や「ここに困っていて・・・」という方は、一度検討してみる価値は絶対にある技術かと思います。 これも修理・調整やカスタムパーツで同じように言える事かと思います。

そしてこの技術に関しては、管楽器修理・調整とは全く別軸の変化としてある物と体感しました。

管楽器修理・調整で良くなる幅と管楽器調律で変化する幅が別であり、言ってしまえば修理・調整をせずこの調律のみでも変化は間違いなく感じられるかと思います。

これは後日談になりますが、今回調律いただいたクラリネットの塞ぎや連携の取り方などをあえて全く違うキャラクターになる方向に変えてみたり、個人的には鳴らなくなるだろう方向に変えてみたりもしました。

そうしたからといって調律で変化した部分が引っ張られて変わるかというとそうではなく、ただ単に調整が変わった事による変化があり、調律で変化した部分は確かにそのまま残っています。

私が個人的に行き着いた考えは、 管楽器修理・調整と管楽器調律という2つの技術はそれぞれに存在する意義があり、お互いが手を取り協力し合う事で管楽器という楽器のより奥深いところを目指す事が出来るのではないかという事です。

私如きの一零細管楽器修理人が発するのは烏滸がましいとは思いますが、今回ご協力いただきました西部さんと是澤先生と意見交換をさせていただきました中で、施す技術は違えど管楽器を今以上により良くできる事や、より奥深い所を開拓しようという想いや目指す先は同じだと今回私は確信いたしました。

今までどのような技術であるか私自身直接見聞きした訳ではなかったため、今までお客様から「これってどうなんですか?」と聞かれた際には何も申し上げることはできませんでしたが、今は自分自身の見て感じた事をお伝えする事は出来るかと思います。

ここまで文を起こしておきながら、頭で理屈を考えれば考えるほど頭がこんがらがり、未だにわかには信じられない思いは私自身もございます。

ただ自分の感じた事や思った事に嘘をつく訳にはいかないため、今回このように文章に起こさせていただきました。

実を言ってしまうとこの投稿の文のほとんども管楽器調律を見学させていただいてすぐに書いたものです。

ただあえて数ヶ月置いていました。

ある種「かかってしまっている」部分が無いかというのを時間を置く事で確認して、自分の中でちゃんと時間をかけてこの衝撃の内容を噛み砕いてからの方が、冷静に発信を出来るだろうなと思ったからです。

末尾にはなりますが今回貴重なお時間を割いていただきました 西部さん(@keisuke_nishibu )、 是澤先生(@yk8139 )、 場所をお貸しいただきましたムートンストア様に心より感謝を申し上げます。

これにて管楽器調律の体験記録の締めとさせていただければと思います。

管楽器修理工房AtelierT 武田 幹彦 (2024年5月6日)

https://x.com/ateliert0304/status/1787288288153551207
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